ギャッベを探している中で、お手頃価格のギャッベを見かけたことはありませんか?
イラン製のギャッベであれば座布団サイズでも1万円前後で販売されていますが、格安ギャッベであれば1500~3000円で販売されていることも。
これらの違いは一体どこにあるのでしょうか。
実は、格安ギャッベのほとんどがイランではなくインドや中国で生産されたものであり、イラン製のギャッベとは別物なのです。
本記事では、ギャッベの本物と偽物の違いと見分け方について解説いたします。
本物のギャッベとは?
ギャッベはペルシャ語で『ざっくりした・目の粗い』と言う意味。
イラン南西部のシラーズ地方に住むカシュガイ族の女性によって手織りされた厚手の敷物のことです。
つまり、それ以外の敷物はすべて偽物という事になります。
産地 | イラン南西部のシラーズ地方 |
原材料 | 羊毛 |
織り方 | 手織り (糸紡ぎや染色も人の手で行われる) |
ギャッベの材料は遊牧民族とともに暮らしている羊の毛(ウール)です。
染料にも茜の根やインディゴ、ザクロの皮などの天然素材が使われています。(一部、化学染料を使用したギャッベもあります。)
ギャッベは下絵などがなく、織子の感性によって織り上げられます。
型にとらわれない自由さと、自然をモチーフにした温かみのあるデザインもギャッベの魅力のひとつです。
ギャッベは羊の毛刈りから糸紡ぎ、染色、織りに至るまで全部の工程が手作業でおこなわれます。
手作業で丁寧に織り上げられたギャッベはすべて1点もの。少しずつ揺らぎがあり2つとして同じものはありません。
手作業で手間暇がかかるため価格は高くなってしまいますが、その分丈夫で長くご愛用いただけます。
偽物ギャッベとは
ギャッベが世界的に注目を集めるようになると、ギャッベを模倣して作られた敷物が流通するようになります。これが、いわゆる偽物のギャッベです。
※偽物という表現していますが、本物ではないギャッベが決して悪いという事ではありません。それぞれに違った良さがあります。
産地 | インド・中国など |
原材料 | 羊毛・ポリエステルなど様々 |
織り方 | 手機織り・機械織り |
偽物のギャッベは、インドや中国などイラン以外の国で生産されています。
偽物のギャッベと言っても、ギャッベのようにウールで作られたものからデザインのみを取り入れた機械織のラグまで、商品によって多種多様です。
そこで、ここでは偽物のギャッベに多い『コピーギャッベ』と『ギャッベ風ラグ』の2種類を紹介します。
コピーギャッベ
ギャッベ需要の高まりにより、ギャッベを模倣して作られた敷物が『コピーギャッベ』です。
手織り産業が盛んなインドやトルコなどが主な産地となっています。
ギャッベと言う名前が付いてはいますが、手織りではなく手機(てばた)織りが主流です。
本物のギャッベに似せたデザインとなっていますが、製作工程は全く異なるという事ですね。
機械で織り上げていくため、手織りのギャッベに比べて柄や織り目が均一になっているのが特徴です。
機織り機を使用するため、手織りのギャッベに比べてローコスト・短時間で製作することができます。
そのため、値段は本物のギャッベの半分ほどの値段です。
天然素材ウールを使用した安価なコピーギャッベを、ギャッベの入門として購入される方もいます。
ただし、商品によって織りや品質が大きく変わるため、購入する際には実物や写真を見て品質を見極めましょう。
ギャッベ風ラグ
最近では、ウィルトン織りラグやタフトラグなどの機械織りのラグに、ギャッベのモチーフを取り入れたギャッベ風ラグも普及しています。
原材料は天然素材ではなく、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維が使用されることがほとんどです。
ギャッベのような何十年と使えるものではなく、消耗品となっています。
ユニークで可愛らしいギャッベのデザインを手頃な価格で楽しめることが特徴です。
ギャッベの人気上昇にともなって、中国や日本をはじめ世界各国で生産されています。
ギャッベ!本物と偽物の見分け方
手織りならではの風合いやデザイン、ふかふかの手触りは本場のイランギャッベならではの魅力ですが、これらの特徴は感覚的なもの。
「本物と偽物のギャッベを見分ける基準が欲しい」と言う方も多いのではないでしょうか?
そこで、ここからは本物のギャッベと偽物のギャッベの見極め方について解説いたします。
ギャッベが本物かどうか見分けるときには、『産地』『値段』『販売枚数』『ラグの裏面』を確認してください。
産地
ギャッベが本物か見分けるときには、まず産地をご確認ください。
本場のギャッベはイラン南西部のシラーズ地方で生産されます。
インドや中国など、それ以外の地域で生産されている場合は偽物のギャッベです。
値段
価格も本物と偽物のギャッベで大きく差がでるポイント。
手織りで作られる本場のギャッベは、偽物のギャッベに比べて価格が高くなる傾向があります。
本物のギャッベであれば座布団サイズで1万円前後、小さめのラグサイズで10万円以上が目安です。
目安よりも安すぎる場合は、コピーギャッベやギャッベ風ラグの可能性が高いでしょう。
ウールを使用した手機織りのコピーギャッベは価格が高い傾向がありますが、それでも本物のギャッベの半額程度です。
販売枚数
イラン製のギャッベは手織りで作られるため、すべてが1点もの。
よく似た柄、よく似たデザインのものはありますが、2つとして同じものはありません。
同じ商品が2枚以上販売されている場合は、コピーギャッベやギャッベ風ラグだと思ってください。
通販サイトで商品を見るときは、同じ商品が2個以上選択できるかを確認しましょう。
ラグの裏面
手織りで作られるギャッベは裏面にも特徴が現れます。
【本物のギャッベ】
本場のイランギャッベは手織りで作られるため、不均一でゆがみがあるのが特徴。
このゆがみやムラが、他にはない唯一無二の味わいを生み出しているのです。
『カシュクリ』『アマレ』など、目の細かさによってランクがあり、価格や質感も変化します。
【コピーギャッベ】
これに対し、コピーギャッベは手機織りのため織り目が均一になっています。
織り目にゆがみが全く見られなければ、手機織りの可能性が高いです。
手織りの素朴なギャッベに比べて、ややスタイリッシュな印象を受けます。
【ウィルトン織りラグ】
また、ウィルトン織りのギャッベ風ラグも裏面に織り目が見られますが、機械織されているため目は均一です。
織り目の模様も手織りのギャッベとは違っているのが、お分かりいただけるかと思います。
また、ウィルトン織りは密度が高いため、ギャッベに比べて織り目が細かいことも特徴です。
【裏地付きラグ】
裏面に基布が貼られて織り目が見えないものは、ギャッベのデザインを取り入れたプリントラグやタフトラグが多いです。
当然本物のギャッベではありません。
基布に加工を施すことにより、滑り止めや防音などの機能がついているラグもあります。
ギャッベ選びは生活スタイルに合わせることが肝心
本物と偽物のギャッベについてお話してきましたが、「本物が良い!」「偽物が良い!」と決めるものではありません。
なぜなら、敷物選びは使用する本人が「良いと思えるか」が一番大切だからです。
ギャッベ選びに迷ったときは、「どんなギャッベが欲しいのが」「ギャッベを敷いてどんなふうに過ごしたいのか」を改めて考えてみてください。
そして、ご自身の生活スタイルに合ったものを選ぶように心掛けましょう。
とくに、本物のギャッベは何十年と使用できる敷物。
手織りゆえに値段も高いので、購入する前に何度も吟味することになると思います。
いきなり何十年も使える高価な本物のギャッベを使うことに抵抗のある方は、ひとまず手頃なコピーギャッベを入門として試してみるのも1つの手です。
本物のギャッベと全く同じではありませんが、ウールラグの特性やギャッベの雰囲気はつかめるかと思います。
また、上質なウールを使用した本物のギャッベは汚れにくい性質がありますが、水洗いすることができません。
お子様の年齢が小さく水洗いをしたいときには、お子様が成長されるまで洗い替えできるギャッベ風ラグを使用するのも良いでしょう。
ただ、手織りで作られるイランのギャッベは世界に1つしかありません。
ギャッベとの出会いは一期一会ですので、「これぞ!」と思える一枚に出会えたときはお手元に置かれることをおすすめします。
当店おすすめのギャッベ6選
当店では個性豊かなイランギャッベから、お手頃価格のインド製ギャッベまで幅広く取り揃えております。
琴線に触れる、あなただけの1枚を探してみてください。
イランギャッベ
上質なウールを100%使用したイランギャッベは使い込むほどに艶やかに変化していきます。
世界に2つとないオリジナルのデザインをお楽しみください。
インドギャッベ
手機織りで高密度に織り上げた当店のインドギャッベ。
ギャッベらしい文様デザインから、スタイリッシュデザインまで幅広く取り揃えております。
この記事のまとめ
本記事では本物のギャッベを見分ける方法について解説してきました。
本物のギャッベとは、イラン南西部の山岳地帯に住むカシュガイ族の女性が手織りした厚手の敷物のこと。
インドや中国など、イラン以外の場所で作られたものは偽物のギャッベです。
偽物のギャッベの中にはギャッベを模倣して作られた『コピーギャッベ』、ギャッベのデザインのみを取り入れた『ギャッベ風ラグ』などがあります。
ギャッベが本物かどうか見分けるときは『産地』『値段』『販売枚数』『ラグの裏面』の4点を確認してください。
ギャッベは本物と偽物のどちらが良い悪いと言うものではありません。
使用する本人が満足して購入することが一番大切です。
ご自身の感性を信じて、心に残る素敵な一枚をぜひ見つけてください。