ラグやカーペットは長年使用していると、黄色い粉が発生することがあります。
「カーペットを交換しようとめくったら大量の黄色い粉が落ちていた」という経験をされた方もいるのではないでしょうか。
この粉の正体はウレタンフォームが劣化したものであり、人体への影響はありません。
本記事では、カーペットから黄色い粉が発生する原因と対処法について解説いたします。
カーペットから発生する黄色い粉の正体
カーペットから発生する黄色い粉の正体は、カーペット内部に埋まっているウレタンフォームです。
長年カーペットを使用しているうちにウレタンフォームが劣化して粉状となり、生地の隙間から表面に出てくることがあります。
ダニや砂など外的な要因ではなく、長年使用したカーペット本体から発生するものなのです。
ウレタンが劣化する原因
ウレタンフォームの劣化が進む原因は、以下のようなものがあります。
■ウレタンが劣化する原因■
- 汗などに含まれる塩分
- 皮脂
- 熱
- 紫外線
- 排気ガスなどに含まれる窒素酸化物
- 水分による加水分解(※)
※化学反応の一種。化合物が水と反応することによって発生する反応のこと。
紫外線や窒素酸化物は、ウレタンが黄色に変色する原因でもあります。
加水分解は、汗やこぼした飲み物による水分だけでなく、空気中に含まれる湿気でも進行するため注意が必要です。
ラグを使用していなくても、空気中の湿気により経年で劣化してしていきます。
ウレタンフォームのは劣化速度は使用状況や保管状態、ウレタンの質に大きく左右されるため一概には言えません。
一般的な目安として、3年以上使用しているウレタンラグは劣化が見られることが多いです。
ウレタンは人体に害がある?
ウレタンラグから発生する黄色い粉。
人体への影響が気になる方も多いのではないでしょうか。
ウレタンフォームはポリウレタンを発砲させ硬化させたものであり、一般的に人体に対する影響は発生しないと言われています。
ウレタンフォームは作物の苗床、台所や浴室で使用する洗浄スポンジなどにも使われており、手で触れても問題はありません。
また、ウレタンフォームは粒子が細かくないため、誤って体内に入った場合も肺にとどまることはなく、排出されると言われています。
見た目は良くありませんが、人体に害があるわけではありませんのでご安心ください。
ラグから黄色い粉が出たときの対処法
たとえウレタンが人体に影響がなくても、ラグに粉が付着しているのはあまり気持ちの良いものではありません。
黄色い粉が発生したときには、速やかに掃除してしまうのが得策です。
ここでは、カーペットやラグから黄色い粉が発生した時の対処法について解説いたします。
掃除機を掛ける
黄色い粉が散らばったままでは落ち着いて過ごすことはできません。
黄色い砂が発生したときは、掃除機で吸い取ってください。
カーペットの裏面は、ウレタンの粉以外にもホコリやハウスダストが混ざっていることがあります。
気になる方は、マスクをつけてからお手入れを開始しましょう。
ラグの表面だけでなく、ラグの裏面やラグが敷かれている床面にも掃除機を掛けてください。
粉の量があまりにも多いと、掃除機で吸い取りきれないことがあります。
大量の黄色い粉が発生している場合は、先にホウキで粉をある程度取り除いてから掃除機掛けや雑巾掛けをおこないましょう。
カーペットを捨てる
一度劣化したウレタンは元には戻りません。
そのまま劣化が進行し、黄色い粉が発生し続ける可能性もあります。
粉の量があまりにも多いときや、掃除をしても黄色い粉が発生し続けるときはカーペットを買い替えてしまうのも一つの手です。
カーペットから発生する黄色い粉は、カーペットの寿命を知らせる合図だと思いましょう。
ウレタンを使用していないカーペットであれば、黄色い粉が発生する心配もありません。
カーペットから発生する黄色い粉の予防対策
カーペットに使われているウレタンは経年で劣化するため、黄色い粉を完全に防ぐことは不可能です。
ですが、カーペットの使い方次第でウレタンの劣化を遅らせ、長くお使いいただくことができます。
ここからは、カーペットから発生する黄色粉の予防方法について解説いたします。
湿気・水分を溜め込まない
カーペットに湿気などの水分が含まれていると、加水分解によって劣化が進行してしまいます。
カーペットの中に水分や湿気を溜め込まないよう注意しましょう。
空気中の水分でも加水分解は起こります。
こまめに換気をおこない、部屋の中に湿気がこもらないようにしましょう。
湿度が高まる梅雨や夏は、エアコンの除湿機能や扇風機なども活用してカーペットにカーペットの湿気を取り除くようにしてください。
拭き掃除をする
ウレタンの劣化を防ぐためには、皮脂や汗汚れを落としておくことが大切です。
皮脂や汗は掃除機で吸い取ることが難しいため、拭き掃除をおこないましょう。
皮脂汚れには、弱酸性の汚れや油汚れに効果を発揮する重曹水を使った水拭きがおすすめです。
■重曹水を使った拭き掃除方法■
- 水100mlに小さじ1の重曹を入れて溶かす
- スプレーボトルに重曹水を入れラグに吹きかける
- ラグ全体に重曹水をなじませる
- 水に浸し固く絞った雑巾で重曹水を拭き取る
- 乾いた布でラグ表面の水分を拭き取る
- 陰干しや扇風機でラグを完全に乾かす
拭き掃除をする前に、カーペットの端で試し拭きをしておきましょう。
重曹水を扱うときは、皮膚を守るためゴム手袋を着用してください。
洗濯表示の指示に従う
皮脂汚れは水洗いでも落とすことができますが、水で劣化しやすいウレタン入りのラグは洗濯ができないことも多いです。
カーペットを傷めないためにも、洗濯する際は必ず洗濯表示を確認しましょう。
ウレタンは熱にも弱いため、低い水温での洗濯が推奨されているケースや、乾燥機の使用が不可となっているケースも多いです。
洗濯表示の指示を無視して洗濯をすると、ウレタンが劣化し大量の粉が発生してしまう可能性もあります。
カーペットが劣化してしまっては元も子もないので、洗濯表示の指示に従って洗濯してください。
また、カーペット内に水分が残らないようしっかり乾かしきることも大切です。
ラグが乾きやすい、晴れの日が続いている風通しの良い日に洗濯しましょう。
日光を当てないようにする
日光は、カーペットの劣化を早めるだけでなく変色の原因にもなります。
ウレタンラグを使用するときは、直射日光が当たり続けないように気をつけてください。
日当たりの良い場所にラグを敷くときは、定期的にラグの向きを変えて日光を浴びる場所が偏らないようにしましょう。
紫外線カット機能が付いたレースカーテンを活用することも効果的です。
レースカーテンを吊り下げておくことで、窓から差し込む紫外線の量を軽減することができます。
カーペットを庭やベランダに干すときも日光に気をつけなければなりません。
軒下など、直射日光の当たらない風通しの良い場所に干すようにしましょう。
まとめ
本記事では、カーペットから黄色い粉が発生する原因と対処法について解説してきました。
カーペットから発生する黄色い粉の正体は、ウレタンフォームが劣化したものです。
ウレタンフォームは汗などに含まれる塩分、皮脂、熱、紫外線、窒素化合物、加水分解などによって劣化します。
ウレタンフォームの性質上、経年により黄色い粉が発生するリスクを完全になくすことは難しいです。
ですが、使い方次第でラグのウレタンフォームを長持ちさせることはできます。
湿気を取り除き、定期的に掃除をおこないましょう。
ウレタンフォームは人体に対する生理的な影響ないと考えられています。
気になる場合は、掃除機で吸い取るかカーペットの買い替えを検討ご検討ください。