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ラグやカーペットに使われる素材の種類と特徴

ラグやカーペットに使われる素材の種類と特徴

ラグを選ぶときに『色』や『デザイン』を気にする方は多いと思いますが、ラグの『素材』にまで着目する方は少ないのではないでしょうか?

ラグ・カーペット選びに置いて見落とされやすい『素材』
実はラグ・カーペットの使い心地を決める重要な要素なんです。

手触り、発色、機能性など、カーペットやラグは使われる素材によって様々に表情を変えます。

毎日肌に触れるものだからこそ、ラグやカーペットはぜひとも素材まで厳選してみてください。

この記事では、敷物専門店のスタッフがラグ・カーペットの素材の種類と特徴について解説いたします。

【天然繊維】ラグ・カーペット素材の種類

天然繊維とは、自然由来の成分を使った繊維のこと。
ウールやシルクなどの動物繊維と、コットンや麻のような植物繊維に大別されます。

毛皮をはじめ、人類は太古の時代から天然繊維を利用してきました。

■敷物に多い天然繊維■

  • ウール
  • コットン
  • シルク

自然由来の成分を使用した天然繊維は、肌への負担が少ないことが特徴です。
天然繊維の敷物は吸湿性や保温性に優れ、季節を問わず快適な空間を演出します。

自然界に存在するものを原料として作られる天然繊維は、化学繊維に比べて環境への負荷が少ないことも特徴のひとつ。

一方で、化学繊維に比べてケアに手間がかかることがデメリットとして挙げられます。

この他、アジア系インテリアで見かける『い草』『竹』『籐』などの素材も、敷物に使われる天然繊維の一種です。

ウール

カーペットのウール素材

ウールは敷物素材の中で最も歴史が古く、何千年も昔から生活を支える敷物として紡がれてきました。

その理由は、ウールの持っている豊かな機能性にあります。

原料 羊毛・カシミア・アルパカなど
メリット 調湿性に優れている
弾力性がある
保温性・断熱性が高い
汚れにくく汚れを落としやすい
難燃性がある
デメリット 遊び毛が出てくる
虫・カビに侵されやすい
匂いがする

ウールの機能性の高さの秘密は、クリンプと呼ばれる縮れにあります。

バネのような縮れがたくさんの空気を抱え込むことで、高い保温性断熱性を発揮するのです。
寒い冬にはフローリングの冷たさを軽減し、ホットカーペットや床暖房の熱を長く持続します。

また、クリンプには吸湿性・放湿性があり湿度を一定に保つ効果も。
湿度の高い夏でも手触りはサラッとしており、暑苦しさを感じさせません。

燃えにくく燃広がりにくい性質を持つことから、防炎製品も多数販売されています。

お手入れのしやすさもウール素材の魅力のひとつ。

ウールには人間の髪のようにキューティクルがあり、水性の汚れが染み込みにくいです。
静電気が発生しにくくホコリを寄せ付けません。

そんなウールのデメリットは虫やカビに侵されやすいこと。防虫加工の施されたものを選ぶようにすると安心です。

また、ウールは遊び毛が出やすいため、購入して半年ほどはこまめに掃除機をかけるようにしましょう。

近年では合成繊維の方が主流となっていますが、ウールの豊かな風合いや自然の恩恵による機能性は唯一無二の魅力。
インテリア専門店の店員としてはぜひおすすめしたい素材です。

■おすすめラグ・カーペット■

コットン

コットンのラグ

綿花を原料として作られるコットン素材。

種類は少ないですが、アクセントラグに使われることのある素材です。

原料 コットン(綿)
メリット 吸水性に優れている
肌触りが優しい
洗濯できるものが多い
比較的リーズナブル
デメリット 水分により伸縮することがある
毛羽立ちやすい

コットン繊維の先端は丸みを帯びた形になっており肌への刺激が少ないです。
肌に優しく、洗濯もしやすいことから赤ちゃんが使うラグとしても人気を集めています。

また、コットンは吸湿性にも優れているので夏用のラグにも使われることが多い素材です。

一方、水に強いコットン素材ですが、洗濯により縮んでしまう可能性があります。
洗濯表示を確認し、正しい方法でメンテナンスをおこなってください。

コットン素材は摩擦による毛羽立ちが起きやすいため、使用する際には摩擦を避けるような工夫が必要となります。

■おすすめラグ・カーペット■

ジュートのラグ

麻は、リネン・サイザル麻・マニラ麻・ジュートなど植物の表皮の内側にある繊維、葉や茎からとれる繊維の総称。
シャリッとした独特の手触りが特徴です。

原料 リネン、サイザル麻、マニラ麻、ジュート、など
メリット 通気性が高い
吸水性がある
水に濡れると強度が増す
デメリット 保温性はやや低い
摩耗により毛羽立つことがある
商品数が少ない

麻はカーペットの他、衣類や寝装品などにも使われる繊維です。

熱伝導率が高く、触れた部分の体温を奪って放熱するためヒンヤリとした涼感があります。
涼感があり吸水性が高く蒸れにくいことから、梅雨や夏向けのラグにも使われることが多いです。

また、ラグやカーペットの基布としても利用されています。

■おすすめラグ・カーペット■

シルク

蚕がつくる繭から取り出して作られるシルク(絹)

細い糸を作ることができ、緻密で高級な手織り絨毯に使われることが多い素材です。

原料 蚕の繭
メリット 繊細な表現が可能
染色しやすい
デメリット 耐久性・対候性に欠け変色しやすい
虫・カビに侵されやすい
薬品に弱い

優雅な光沢としっとりとした手触りが特徴です。
繊維が細くしなやかなため、繊細な織りを表現するのに長けています。

反面、デリケートな素材のため取り扱いには注意が必要です。

耐久性・対候性に欠け黄ばみやすく、虫やカビ、薬品などにも弱いため、壁に掛けるタペストリーとしてよく使われます。

【化学繊維】ラグ・カーペット素材の種類

化学繊維は人間が人工的に作り出した繊維の総称
石油や石炭などを原料とした合成繊維(ナイロン、ポリエステル、アクリルなど)や、天然繊維を薬品処理して作られた再生繊維(レーヨンなど)が代表として挙げられます。

■敷物に多い化学繊維■

  • ナイロン
  • ポリエステル
  • ポリプロピレン
  • アクリル
  • レーヨン

化学繊維は科学の発達とともに、量産化や新しい機能開発を目的として作られました。

天然繊維に比べて耐久性や強度が高いことが特徴です。
シワになり難く、メンテナンスが容易であることもメリットとして挙げられます。

一方、天然繊維よりも硬く、吸湿性が低く蒸れやすいことから肌への負担がかかりやすいことがデメリットです。

ナイロン

ナイロンのラグ

三大合成繊維の1つに数えられるナイロン

丈夫でへたりにくいことから、ホテルやオフィスなど、土足で使用する場所に多く使われています。

原料 石油
メリット 耐久性が高い
へたりにくい
摩擦に強い
虫・カビに侵されにくい
デメリット 価格が高い
静電気が発生しやすい

ナイロンは繊維の中でもトップクラスの耐摩擦性、弾力回復(耐ヘタリ性)を誇る耐久性の高い素材。
歩行量の多い場所に敷き込むのなら、やっぱりナイロンカーペットでしょう。

虫やカビに侵されにくいことも、化学繊維ならではの持ち味です。

メリットも多いナイロンですが、化学繊維の中では高価な部類に含まれます。
そのぶん長くご使用いただけるため、質の良いものを長く使うスタイルに適していると言えるでしょう。

■おすすめラグ・カーペット■

ポリエステル

ポリエステルのカーペット

三大合成繊維のひとつに数えられるポリエステル

使い勝手の良さからカーペットはもちろん、カーテンや衣料などにも幅広く使わています。

原料 石油
メリット 摩擦に強い
シワになりにくい
発色性が良い
熱に強い
デメリット 静電気を帯びやすい
毛玉ができやすい(短繊維のみ)

ナイロンに次ぐ耐摩擦性を持っている敷物に適した素材です。
軽くて肌触りが良く、保温性にも優れていることからフリースウェアなどにも使われています。

静電気が発生しやすいというデメリットはありますが、制電加工の施されたラグであればほとんど不便を感じることなくお使いいただけるでしょう。

ポリエステルはそれ以外にこれと言った大きな弱点がないこともあり、生産量は合成繊維の中でもトップとなっています。

■おすすめラグ・カーペット■

ポリプロピレン

ポリプロピレン素材を使用したカーペット

大量生産しやすく安価な繊維として市場に多く出回っているポリプロピレン

原料 石油
メリット 価格がリーズナブル
摩擦に強い
色あせしにくい
デメリット 耐熱性が乏しい
堅い感触がする

ポリプロピレンはコストが安いため、コストパフォーマンスの良いラグ・カーペットが多く販売されています。

吸湿性が低いため汚れがついても浸み込みにくく落としやすいです。
また、ポリプロピレンは繊維にする前の原料の段階で着色するため、色落ちが少ないこともメリットとなっています。

一方で、弾力性が乏しく、手触りがやや堅いというデメリットも。
また熱に弱いため、高温のアイロンを置くと跡がついてしまうことがあります。

■おすすめラグ・カーペット■

アクリル

アクリルのカーペット

もう一つの三大合成繊維、アクリル。ウールに近い、ふっくらと柔らかな肌触りをしています。

原料 石油
メリット 保温性が高い
手触りが良い
虫やカビに強い
デメリット 静電気が発生しやすい
遊び毛が出やすい

機能性においてもウールと類似しており保温性が高いことも特長です。

化学繊維のためウールと違い、虫やカビに強く使い勝手が良いこともメリット。

ウールと同様に遊び毛が出やすいため、こまめな掃除機掛けが必要となります。

■おすすめラグ・カーペット■

レーヨン

レーヨンカーペット

少し異色な存在なのが、このレーヨン。
カーペットの素材として、「ビスコース」「ビスコースレーヨン」「レーヨン」などの呼び方があります。

原料 木材パルプ
メリット シルクのような手触り
光沢により高級感を演出
吸湿性に優れる
環境に優しい
デメリット 耐久性はやや劣る
水に弱い

レーヨンはシルクに似せて作られた化学繊維。その特徴はシルクとよく似ています。
シルクのような滑らかな手触り、美しい光沢が特徴です。

レーヨンは天然原料を由来とした「再生繊維」であり、木材パルプから採取する植物原料に薬品加工を施して作られた素材。
植物由来のため生分解性と言う特性を持ち、土に埋めると微生物によって分解され土に還ります。

日本ではあまり普及しておらず、輸入の高級カーペットに使用される素材です。

■おすすめラグ・カーペット■

ラグ・カーペットの素材の特徴を比較

カーペットの素材を選ぶうえで大切なことは、他の素材と比較して吟味すること。

ここでは代表的なラグ・カーペットの素材の特徴を比較していきます。

  • 弾力性:踏み心地の良さ、クッション性
  • 耐久性:へたりにくさ、摩擦への強さ
  • 防汚性:汚れのつきにくさ、汚れの落としやすさ
  • 断熱性:床からの冷えを防ぐ力
  • 吸湿性:湿気を吸収する力、触り心地の良さ

■ラグ・カーペットの素材比較表■

弾力性 耐久性 防汚性 断熱性 吸湿性
ウール
コットン
ナイロン
ポリエステル ×
ポリプロピレン × ×
アクリル

総合的に欠点が少なく、安定して使いやすいのはウール素材
遊び毛が出やすいと言うデメリットはありますが、一年通して使い続けるのにはぴったりの素材です。

一方、ナイロンは弾力性や耐久性の高さにおいては群を抜いています。
頻繁に歩く場所、重い家具を置くような場所にはナイロンのラグ・カーペットが適していると言えるでしょう。

ただし、コスト面においてはウールもナイロンも高くなりやすい傾向があるため、コストパフォーマンスも含めて素材をお選びください。

この記事のまとめ

本記事では、カーペットやラグに使われる素材の特徴について解説しました。

カーペットやラグに使われる素材は、『天然繊維』と『化学繊維』に大別されます。

ウールなどに代表される天然繊維は、素朴で豊かな風合いが魅力です。
ナイロンをはじめとした化学繊維は、機能性や染色性に優れています。

それぞれにメリット・デメリットがありますので、比較しながらラグの素材を検討していきましょう

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