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カーペットの種類(製法・素材・パイル)について

カーペットの種類(製法・素材・パイル)について

カーペットは製法・素材・パイル・敷き方などによって分類することができます。

カーペットの種類は、耐久性、防汚性、クッション性などカーペットの使い勝手にも直結します。

カーペットを選ぶ際には、カーペットの種類や分類についても知っておくと便利です。

本記事では、カーペットの種類と特徴について解説いたします。

カーペットの製法(織り方)による分類

おしゃれなラグ

カーペットの分類で最も一般的なのが、製造方法(織り方)による分類です。

手織や機械織、毛足の有無など、カーペットは長い歴史の中で多様な製法が開発されてきました。

▼カーペットの製法による分類▼

カーペット
(絨毯)
パイル
あり
刺繍 機械作業 タフテッドカーペット
手作業 フックラグ
織り 機械織り ウィルトン・アキスミンスター・ジャカード
手織り 段通・ペルシャ絨毯・ギャッベ
接着 ボンディング・コードカーペット
編み ニットカーペット
圧着 ニードルパンチ
パイル
なし
織り 平織り・キリム・ゴブラン織り
縫い付け チューブマット
圧着 ニードルパンチ

まずは、主なカーペットの製法について紹介いたします。

タフテッド

タフテッドカーペット

カーペットの中でもメジャーなのが、このタフテッドカーペット

基布にパイル糸を通した針を差し込んで毛足を植え付けていく刺繍方式の製造方法です。
裏面をラテックスなどの接着剤でコーティングすることで、毛足が抜けるのを防いでいます。

機械作業でパイルを差し込むことにより、生産スピードを大幅に短縮。
生産速度は従来の織りカーペット(ウィルトン織り)の約30倍です。

ローコストで大量生産できることから、巻きカーペットや簡敷カーペットなどに活用されています。

フックラグ

フックラグ

フックラグとは、基布に糸を引っ掛け作り上げるラグのことです。
手作業で作られるタフテッドカーペットなので、ハンドタフトラグとも呼ばれます。

手作業によって作られることもありますが、最近は電動のフックガンでパイルを打ち込んで作るのが主流となっています。

基布にあらかじめデザインを描き、その柄に沿って裏面からパイル糸を挿入していきます。
1本1本パイルを打ち込むため、1枚のラグの中でパイルの長さや色、素材などを自由に選択可能です。

完全機械作業のタフテッドよりもボリュームがあり、複雑なラグのテクスチャーをお楽しみいただけます。

ウィルトン織り

ウィルトン織りのカーペット

ウィルトン織りは、18世紀中期にイギリスのウィルトン市で初めて作られた機械織のカーペットのことです。
手織カーペットの風合いを機械織で再現したもので、機械織では最高級のカーペットとなります。

ウィルトン織りは糸と糸を交差させて織り上げるため、カーペットの織密度が非常に高いです。

絵画のように緻密で繊細なデザインを表現することができます。
耐摩耗性や耐久性にも優れており、機械織りのカーペットの中では最高級との呼び声も高いです。

アキスミンスター

イギリスのアキスミンスター地方で発展したカーペットのこと。
アキスミンスターはホテルや会館などの高級カーペットに使用される高級カーペットの一種です。

もともとは手織りのカーペットでしたが、現在は機械織りが主流となっています。

ウィルトン織りとの違いは、色数の多さ。
アキスミンスターは20~30色もの色糸を使用することができ、バラエティ豊かで複雑な柄を表現することができます。

アキスミンスターカーペットの織機は非常に希少で、国内だと数台しかありません。
織り方には「スプール式」と「グリッパー式」の2種類があり、いずれもカットパイルのみ表現することができます。

ペルシア絨毯

ペルシア絨毯は、イランで製作される手織りの伝統的な絨毯のことです。
3000年以上の歴史があると言われています。

細い糸を高密度で織り上げられたペルシャ絨毯は、きめ細やかな模様が特徴。
縦糸と横糸にウールやシルクなどの糸を結び付けて作るペルシャ絨毯は、1枚を製作するのに多くの手間と時間がかかります。

繊細に織られたペルシャ絨毯は、敷物としてだけでなく芸術的な価値も高いです。

織り目の細かいペルシャ絨毯は、耐久性が高く長く使うほどに味わいや美しさが増していきます。

機械織との大きな違いは、ペルシャ絨毯には手作業ならではの自然な歪みがあることです。
また、絨毯本体の縦糸がそのままフリンジに使用されていること、絨毯のエッジも手縫いでロックされていることも特徴として挙げられます。

ギャッベ

ギャッベの敷物

ギャッベはペルシャ語で『粗い』という意味。
イラン南西部の山岳地帯に住む遊牧民族によって手織りされた敷物です。

ペルシャ絨毯と産地は同じですが、ペルシャ絨毯に比べ目が粗くざっくりと編み上げれています。
手織りで作られるギャッベは、自然な揺らぎがあり世界に2つとして同じものはありません。

自然をモチーフにしたユニークな模様と温かみのある風合いが人気となり、世界中で愛されるようになりました。

最近では、イランのギャッベを模倣したコピーギャッベがインドや中国でも生産されています。
これらは機械織や手機織りによって作られるので、ペルシャギャッベと違い織り目が均整です。

緞通(だんつう)

緞通は、中国で盛んに生産される手織りの絨毯です。
ペルシャで作られていたカーペットがシルクロードを経て、中国に伝来したと言われています。

中国緞通の特徴は、厚手でずっしりと重みがあること。

鮮やかな色合いのペルシャ絨毯に比べると、緞通は淡い色使いでふっくらと優しい風合いをしています。
また、カービングによって浮き彫りになった模様は中国緞通ならではの美しさと言えるでしょう。

耐久性や柔軟性に優れた段通は非常に丈夫で、何十年とお使いいただけます。

ジャガード織り(モケット)

モケットラグ

ジャガード織りは、フランス人の発明家ジャカールが考案した織機(ジャガード機)を使用して作られた織物のことです。

ジャガード織りは、ウィルトン織りと同じ構成の織りをいるため見た目がよく似ています。
ですが、ジャガード織りの方が細い糸が使われているため薄手でしなやかです。

薄手で耐久性や耐摩耗性が高いことから、カーペット以外に電車やバスの座席に使用されています。

平織り

平織のゴブラン織りカーペット

平織りは、縦糸と横糸を交差させて織り上げます。

毛足のないシンプルさが特徴です。

代表的な平織りの敷物には、緋毛氈(ひもうせん)やキリム、ゴブラン織りカーペットなどがあります。

 

チューブ

チューブカーペット

チューブラグは、管状(チューブ)に編み込まれた素材を接合して作られます。

独特の立体感のある風合いが特徴です。

カーペットの素材による分類

カーペットは使用される素材によって、風合いや機能性が大きく変化します。

素材によるカーペットの分類も知っておきましょう。

カーペットの繊維にはウールやコットンなどの自然由来の成分を使った天然繊維と、ナイロンやポリエステルなど化学成分を使用した化学繊維があります。

■ラグ・カーペットの素材比較表■

弾力性 耐久性 防汚性 断熱性 吸湿性
ウール
コットン
ナイロン
ポリエステル ×
ポリプロピレン × ×
アクリル

ここでは、カーペットの代表的な繊維と特徴を紹介します。

カーペットの素材について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参照ください。

ウール

カーペットのウール素材

ウールとは、その名の通り羊の毛のこと。
機能性の高さから、ウールは何千年もの昔から敷物の素材として使用されてきました。

弾力性の高いウールは、クッション性や防音性に富んでいます。

ウールは繊維にたっぷりと空気を含んでおり、断熱性や保温性が高いです。
また、調湿性にも優れているため、冬だけでなく湿度の高い夏場にもお使いいただけます。

綿

コットンのラグ

綿はアオイ科の植物から採れるワタ(綿)を原料とした素材のこと。
コットンや木綿とも呼ばれています。

綿のラグは通気性や吸水性に優れているため、汗をかきやすい夏にも使用しやすいです。

肌への刺激が少ないことから、赤ちゃんが使うラグの素材としても人気があります。

ジュートのラグ

は植物の表皮や茎、葉などから採取される繊維の総称。
通気性・吸湿性の高さが特徴です。

リネン・サイザル麻・マニラ麻・ジュートなど様々な種類があります。

麻のみを使用したカーペットは少なく、綿や化学繊維との混合カーペットが多いです。

シャリッとした独特の手触りが特徴で、夏用のラグに多く使用されています。

ナイロン

ナイロンのラグ

合成繊維(化学繊維の一種)であるナイロンは、弾力性と耐摩耗性の高さが魅力です。

耐久性の高さはカーペット繊維の中でもトップクラスであり、水に濡れてもその強度は変わりません。

そのため、一般家庭のカーペットはもちろん、ホテルや商業施設など土足歩行のカーペットにも使用されています。

ポリエステル

ポリエステルのカーペット

ポリエステルはナイロンに次ぐ強度を誇る化学繊維です。

ポリエステルの魅力は染色しやすい、シワになりにい、虫やカビに強いなどの高い機能性。
使い勝手の良さから、カーペットはもちろんカーテンや衣類など幅広い繊維製品に使用されています。

他の素材と混合して扱いやすいことも特徴です。

カーペットのパイル(毛足)による分類

カーペット表面の毛足の形状のことを『パイル』と言います。

カーペットのパイルは、大別すると『カットパイル』『ループパイル』の2種類です。

パイルの種類によって見た目や耐久性、機能性が変わります。

カットパイル

カーペットのカットパイル

カットパイルとは毛足の表面が切り揃えられたパイルのことです。

柔らかな手触りで空間を優しく演出します。
一方で、弾力性や耐久性はループパイルよりも低いです。

ブラッシュ(パイル長:5~10mm)

最も一般的なテクスチャーで、均一な断面が特徴です。

ブラッシュの中でも、密に毛足を打ち込みベルベット調に仕上げたものをベロアと言います。

サキソニー(パイル長:15mm)

ヒートセットされた撚糸をパイル糸として使用します。

しっかりとしたボリュームが特徴です。

シャギー(パイル長:25mm)

パイルの長いシャギーは、豊かな風合いと心地よい手触りが特徴です。

パイルは太めで長く、空間をムーディーに演出します。インテリアのアクセントに。

ハードツイスト

繊維の1本1本に強い撚りが掛けられています
ハードなタッチで弾力があり丈夫です。

 

ループパイル

カーペットのループパイル

ループパイルは毛先がループ状になっているパイルのこと。
耐久性に優れている、毛足にゴミが入りにくく掃除が容易など実用性の高さが魅力です。

へたりにくいため歩行量の多い場所でも安心してお使いいただけます。

レベルループ

高さが均一に揃えられたループパイルのこと。

一般的なカットパイルに比べて表面が堅くなめらかで、土足歩行に対応したものもあります。

マルチレベルループ

マルチレベルループは、高低差をつけたループパイルのこと。

立体的に模様を描くことができ、レベルループに比べて表情があります。

 

カット&ループパイル

カット&ループパイルのカーペット

カット&ループパイルは、カットパイルとループパイルの両方を使用したパイルのことです。

2種類のパイルを組み合わせることで、立体的で複雑なデザインを描くことができます。

カーペットの敷き方による分類

カーペットは敷く場所・敷き方によっても分類することができます。

カーペットの敷き方は、大きく分けると以下の3種類です。

  • 敷き詰め
  • センター敷き
  • ピース敷き

最後に、カーペットの敷き方による分類について紹介いたします。

敷き詰め

6畳の部屋に敷き詰めたカーペット

敷き詰めとは、部屋の隅から隅までカーペットで覆うスタイルのことです。

部屋全体にカーペットを敷き込むことで、防音効果や断熱効果を高めることができます。

センター敷き

6畳の部屋にセンター敷きしたラグ

センター敷きとは、部屋の床面より一回りほど小さいカーペットを部屋の中央に敷くスタイルのことです。

柱の出っ張りなど、部屋の形状を気にすることなく敷くことができます。

フローリングの素材感が際立つため、無垢材のフローリングにもおすすめです。

ピース敷き

6畳の部屋にピース敷きしたラグ

ピース敷きとは、センター敷きよりも小さいサイズのカーペットを部屋の一部に敷くスタイルです。

季節やトレンドに合わせて敷き替えやすく、インテリアのアクセントに使われます。

部分使いする小さいサイズの敷物は、カーペットではなく『ラグ』と呼ばれることも多いです。

この記事のまとめ

本記事では、カーペットの分類について解説してきました。

カーペットの分類は、製法・素材・パイル・敷き方など多岐にわたります。
カーペットの分類や特徴に関する知識は、カーペット選びの一助となるでしょう。

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