素材や色など、カーペットを構成する要素は様々ありますが、その中でも肌触りや使用感を左右するのが、カーペットのパイル(毛足)です。
長めでボリュームのあるシャギーや、輪っかになったループパイルなど、カーペットによってパイルの形状は様々。
パイルの形状によって見た目の表情や耐久性も大きく変わりますので、カーペットを選ぶ際にはぜひパイルにも着目してみてください。
本記事では、カーペットのパイルについて解説いたします。
カーペットのパイルとは?
カーペット表面の繊維、毛足のことを『パイル』と言います。
パイル密度は毛足の密度のこと、パイル長は毛足の長さのことです。
パイルは大別すると『カットパイル』『ループパイル』『カット&ループパイル』そして『フラット』の4種類となります。
パイル選びは、カーペットの手触りや見た目の表情、耐久性、弾力性などカーペットの使用感に関わる大切な要素。
見落とされがちですが、敷物専門店のスタッフとしましてはぜひ着目していただきたいポイントです。
カーペットのパイルの種類と違い
カーペットのパイルにはどのような種類があるのでしょうか?
カーペットの主なパイルの種類は以下の4つです。
■カーペットのパイルの種類■
- カットパイル
- ループパイル
- カット&ループパイル
- フラット
この章では、カーペットのパイルの種類とそれぞれの違いについて詳しく紹介いたします。
カットパイル
カットパイルとは、毛足が切り揃えられているパイルのことです。
ブラッシュ、サキソニー、ツイスト、ベロア、シャギーなどが当てはまります。
カットパイルはふんわりとした柔らかな手触りと、上品な温かみが特徴です。
長さや毛先の形状、密度などによっていくつかの種類に分けられます。
ブラッシュ
長さ5-10mmに切り揃えられたのパイルのことをブラッシュと言います。
ブラッシュは、パイルが同じ長さに切り揃えられたレベルカットパイルの1種です。
短く切り揃えられたパイルはソフトな感触を生み出します。
カットパイルの王道ともいえるタイプです。
サキソニー
サキソニーとは、パイル長10-20mm程度のパイルのことです。
サキソニーもレベルカットパイルの1種で、同じ長さに切り揃えられています。
サキソニーは『撚り』が戻らないよう、比較的強いヒートセット加工が施されているのが特徴です。
しっかりと『撚り』がかけられていることにより、密度の高いサキソニーはパイルが直立し、ふかふかとした弾力性があります。
踏み心地の良いサキソニーは、ラグジュアリーな空間を演出するのに最適です。
シャギー
パイル糸が25mm以上の長い毛足をシャギーと呼びます。
カットパイルの中で最もパイルが長く、ボリュームのある風合いと手触りが特徴です。
シャギーは豊かな毛足が織りなす表情豊かな陰影が魅力。
個性豊かなシャギーラグは、豪華さを演出したい場所に最適です。
敷き詰めカーペットだけでなく、ラグとしても使用されます。
ツイスト
ツイストとはパイル糸1本1本に強い撚り(ツイスト)をかけられて作られたカットパイルのこと。
ねじれがあることにより、他のカットパイルに比べて優れた弾力性と耐久性を発揮します。
足跡や汚れが目立ちにくいことから歩行量の多い場所にも使用しやすいです。
パイルの撚りを強めることで、遊び毛を抑える効果もあります。
個性豊かな毛並みは、カジュアルでラフな印象を演出するのに最適です。
ループパイル
パイル糸がループ状になっているパイルをループパイルと言います。
毛足が輪になっているループパイルは、弾力性が高く耐久性が高いです。
カットパイルに比べてサラッとした手触りをしています。
ホコリや汚れが毛足の奥に入り込みにくく、汚れを落としやすいこともメリットです。
ループパイルはパイルの長さによって3種類に分類することができます。
レベルループ
レベルループとは、同じ長さに揃えられたループパイルのこと。
ベーシックなスタイルで、ホテルなどの公共施設でも使用されています。
高さが均一に揃えられているため、段差が少なく歩きやすいです。
耐久性も高いことから歩行量の多い場所、重い家具を置く場所に適しています。
ハイ&ローループ
ハイ&ローループとは、文字通り毛足に高低差のあるループパイルのこと。
凹凸があることにより、レベルループに比べて表情に動きがあります。
デザインを楽しみつつもシンプルにまとめたい方におすすめです。
マルチレベルループ
2種類以上のループパイルを組み合わせたパイルのことです。
ハイ&ローループとよく似ていますが、厳密には少し違います。
ハイ&ローループは同じ種類のパイルに高低差をつけていますが、マルチレベルループで使用されるのは2種類以上の異なるパイル。
組み合わせるパイルの高さや糸の太さ、色やパターンに変化をつけることで、独特の陰影や表情を生み出すことができます。
装飾性が高くインテリアのアクセントに使われることも多いです。
カット&ループパイル
カット&ループパイルとは、カットパイルとループパイルを組み合わせたカーペットのこと。
形状の違う2種類の毛足を組み合わせることで、多彩な表現ができます。
敷き詰めカーペットだけでなく、アクセントラグでもよく見かけるスタイルです。
単色でもじゅうぶんに存在感があり、敷物の豊かな表情を楽しむことができます。
カットパイルとループパイルに高低差があると、さらに個性豊かな表情をお楽しみいただけるでしょう。
フラット(パイルなし)
フラットとは、パイルのないカーペットのこと。
フェルト状のニードルパンチや、キリムやゴブラン織りなどの平織カーペットがフラットに含まれます。
パイルがないため、家具の跡が付きにくく、家具の下にも敷きやすいです。
また、パイルのあるカーペットに比べて汚れが繊維に入り込みにくいこともメリット。
ホコリや汚れは掃除機で簡単に吸い取ることができます。
ケース別のおすすめカーペットパイル
ここからは、ケース別におすすめのパイルについて紹介いたします。
家具の下に敷き込む
棚やテーブルなど大型の家具の下にカーペットを敷き込むときは、ループパイル・フラットが適しています。
弾力性が高いループパイルは、重い家具の下に敷き込んでもへたりにくいです。
フラットはそもそもパイルがないため、へたってしまう心配はありません。
ループパイルの中でも、高さが均一で耐久性や安定感のあるレベルカットループパイルを選ぶと良いでしょう。
段差が少ないレベルカットループパイルは、椅子の脚がスムーズに動かせることからダイニングにも使いやすいです。
ペットのいる場所
フローリングの床は犬や猫にとって滑りやすく、脚や腰に大きな負担がかかってしまいます。
カーペットは、フローリングに比べて滑りにくくクッション性が高い床材。
インテリアにカーペットを取り入れることは、部屋をおしゃれに見せるだけでなくペットの健康も守ることにも繋がります。
ペットのいる空間には、爪が引っ掛かりにくいカットパイルがおすすめです。
シャギーのような長い毛足のカーペットは、ペットの毛や汚れが奥に入り込んでしまいます。
毛足が短くお手入れしやすいベロアやブラッシュを選ぶようにしましょう。
はっ水・防汚加工の施されたカーペットであれば、万が一汚れてしまった際にも簡単に拭き取ることができます。
歩行量が多い場所
廊下やダイニングなど歩行量の多い場所には、ループパイルのカーペットがおすすめです。
弾力性の高いループパイルのカーペットは、足腰の負担を軽減するだけでなく、転倒時のケガ予防や、階下へ響く足音の軽減などにも役立ちます。
段差が少ないレベルループパイルや、パイル密度の高いカーペットを選ぶようにしましょう。
お子様の年齢が低く、元気に遊びまわる可能性がある際にもループパイルは適しています。
カットパイルを使用したいときは、丈夫で弾力のあるツイストタイプをご使用ください。
ツイストタイプは毛足に表情があり汚れが目立ちにくいことから、子ども部屋での使用にも使いやすいです。
リラックス性を高める
リビングや寝室など、ゆったりと寛ぎやすい空間には肌触りの柔らかいカットパイルがおすすめです。
とくに寝室は歩行量も少ないため、カットパイルでも気にせず敷き詰めることができます。
リビングは歩行量が多いことから、肌触りだけでなくカーペットの耐久性も気になるところです。
敷き詰めではなく、ボリュームのあるシャギーラグを部分敷するのも良いでしょう。
インテリア性を高める
ラグやカーペットは空間のムード作りに欠かせないファブリックアイテム。
インテリアとマッチしているのであれば、基本的にどのパイルをお選びいただいても問題ありません。
全面敷きのカーペットを使用する場合は、素材感の際立つマルチレベルループやカット&ループパイルのカーペットがおすすめです。
ラグジュアリーな空間には、ボリュームのある毛足のシャギーラグがぴったりでしょう。
また、夏のインテリアなど涼やかさを演出する場合は、シンプルなループパイルやフラットタイプのカーペットを敷き込む場合もあります。
いずれのパイルを選ぶとしても、好みや目指したいインテリに合わせて選ぶことが大切です。
まとめ
本記事では、カーペットのパイルについて解説いたしました。
パイルとは、カーペットの毛足のことです。
パイルの種類には『カットパイル』『ループパイル』『カット&ループパイル』『フラット』があります。
カットパイルは毛足が切り揃えられた『カーペット』のこと。
手触りが良く、リラックスしたムードを演出するのに最適です。
一方、『ループパイル』は毛足が輪っかになったカーペットのこと。
へたりにくく耐久性が高いループパイルは、歩行量の多い場所や重い家具を置いている部屋に適しています。
カットパイルとループパイルを組み合わせたパイルが『カット&ループパイル』です。
『フラット』はパイルのない平織などのカーペットのことを言います。
敷く場所に合わせてカーペットのパイルをお選びください。