足元に敷いているラグやカーペットには、さまざまな汚れが付着しています。
どれほど気をつけていても、うっかり食べ物や飲み物をこぼしてしまうこともあるでしょう。
カーペットに汚れやシミがついてしまったときは、汚れの種類に合わせたお手入れを実施することが大切です。
本記事ではカーペットのシミ抜き方法について解説いたします。
カーペットにできるシミの種類
カーペット付着する汚れには『水溶性汚れ』と『油性汚れ』の2種類があります。
汚れの性質に合わせて、カーペットの掃除方法を変えることが重要です。
水溶性汚れ
汚れの中でも水に溶けやすい性質を持つのが、水溶性の汚れです。
■代表的な水溶性の汚れ
お茶、コーヒー、紅茶、ビール、ジュース、しょうゆ、ソース、ケチャップなど
水溶性の汚れは水洗いでも落ちやすいため、比較的お掃除が簡単です。
シミを見て水溶性かどうかわからないときは、濡れたタオルの端をシミに当ててみてください。
カーペットの汚れがタオルに移るようなら水溶性の汚れです。
油性汚れ
油性汚れとは水に溶けにくく、油性の性質を持った有機溶剤に溶けやすい汚れのことです。
■代表的な油性の汚れ
食用油、マヨネーズ、バター、口紅、油性ペン、油絵具、ペンキなど
油性の汚れは水洗いでは取り除くのが難しく、シミが残ってしまう可能性があります。
特に水溶性汚れと油性汚れが複合している場合は、簡単に落とすことができません。
濡れたタオルの端をシミに当てても汚れが映らない場合は、油性汚れの可能性が高いです。
不溶性の汚れ
不溶性の汚れは、固体汚れとも呼ばれています。
■代表的な不溶性の汚れ
墨汁、泥汚れなど
不溶性の汚れとは、水にも油にも溶けにくい汚れのことです。
不溶性の汚れは一度付着すると落ちにくく、ご家庭のお手入れではきれいにするのが難しい場合もあります。
水でもみ洗いすると泥が繊維の中に入り込み、汚れが取れにくくなることもあるため注意が必要です。
基本のシミ抜き方法
カーペットの汚れの種類について分かったところで、続いてはカーペットのシミ抜き方法について解説します。
※注意※
今回ご紹介するのは、カーペットの掃除方法の一例です。
カーペットの繊維や汚れの種類によっては、汚れが完全に落ちないことがあるためご注意ください。
また、お手入れされる際は、色落ちや生地の劣化が発生していないか、様子を見ながらシミ抜きをおこなってください。
水溶性汚れのシミ抜き
お茶やコーヒーなど、水に溶けやすい水溶性の汚れは比較的掃除が簡単です。
水溶性の汚れは、水に濡らすことで落としやすくなります。
■用意するもの
キッチンペーパー・清潔な雑巾・30度のぬるま湯・中性洗剤
まずは、ラグに染み込んだ汚れをキッチンペーパーで吸い取ってください。
ゴシゴシと強く擦らず、優しくポンポンと叩くようなイメージで拭き取りましょう。
ある程度水分を吸収出来たら、汚れを落としていきます。
ぬるま湯に清潔な雑巾を浸して固く絞り、汚れている面を叩いて雑巾に汚れを移し取りましょう。
熱湯や冷水はラグを傷めたり、汚れに含まれるタンパク質を変質させたりする可能性があるため、30度程度のぬるま湯をお使いください。
匂いが気になるものは、薄めた中性洗剤で再度拭き掃除をおこないます。
洗剤が残らないよう、繰り返し水拭きをして洗剤を落としてください。
その後、乾いた雑巾で水分を取り除いて乾燥させればお手入れ完了です。
油性汚れのシミ抜き
油性の汚れは、水溶性の汚れよりも手ごわい汚れが多いです。
中性洗剤を使って汚れをしっかり落としましょう。
■用意するもの
スプーンまたはヘラ・清潔な雑巾・30度のぬるま湯・中性洗剤・アルコール
まずは、カーペットについた汚れを取り除きます。
マヨネーズなど粘性のものはスプーンなどでこそげ取ると、汚れを取り除きやすいです。
汚れた部分を取り除いたら、ぬるま湯に浸して絞った雑巾で汚れを拭き取りましょう。
汚れが広がらなくなれば、雑巾にアルコールをかけ、汚れた部分を叩いていきます。
汚れが目立たなくなくなるまで数回繰り返してください。
ただし、アルコールはカーペットの毛足を傷めてしまうことがあります。
カーペットの様子を見ながら、慎重におこないましょう。
汚れが落とせたら、最後の仕上げです。
ぬるま湯に中性洗剤を溶かし、雑巾に浸して絞ります。
中性洗剤を浸した雑巾で、カーペットについた汚れを優しく拭き取りましょう。
水で濡らした雑巾で洗剤を取り除きます。
最後に、乾いた布で水分を拭き取り、カーペットを完全に乾燥させればお手入れ完了です。
白いカーペットの場合
カーペットの色が白の場合は、色落ちの心配がないため漂白剤を使用することができます。
■用意するもの
スプーンまたはヘラ・清潔な雑巾・30度のぬるま湯・中性洗剤・酸素系漂白剤(20ml)・重曹(15g)
スプーンやヘラを用いて、汚れをこそげ取ります。
酸素系漂白剤と重曹を混ぜ合わせて汚れた部分にかけ、少し時間を置きましょう。
その間に、ぬるま湯を用意しておきます。
きれいな雑巾をぬるま湯に浸して固く絞り、漂白剤を掛けた部分を叩いてください。
汚れが落ちたら少し水をかけ、乾いたタオルで水分を拭き取ればお掃除完了です。
漂白剤による脱色が心配なときは、カーペットの目立たない部分で事前に色落ちチェックをしておきましょう。
種類別の汚れの落とし方
カーペットに付着する汚れの中には、水溶性や油性など複数の汚れが混ざっているものもあります。
それぞれの汚れの性質に合わせて、汚れ落としを行うことが大切です。
ここでは、カーペットに付着しやすい汚れ種類別に落とし方を紹介します。
■代表的な水溶性汚れの落とし方■
コーヒー・紅茶類 | 水で固く絞ったタオルで拭き取ります。 生クリームやミルク入りの場合は、薄めた中性洗剤で拭き取ります。 古いシミはレモン片か、酢で拭き取ると効果的です。 |
ビール・日本酒・洋酒 | 水またはぬるま湯を、布か綿棒に含ませてシミを吸い取らせるようなイメージで叩く。 ぬるま湯でも落ちなければ、薄めた中性洗剤で拭き取りましょう。 |
ケチャップ | 紙で固形分を拭き取り、酢で拭き取ってください。 色が残ったときは、オキシドールで拭いましょう。 |
しょうゆ・ソース | ティッシュペーパーなどでできるだけ吸い取りましょう。 洗剤を入れたぬるま湯で拭き取ってください。 古いシミはオキシドールで漂白をします。 |
血液 | オキシドールで拭き取ると簡単に落ちます。 または、水洗いしてから石鹸かアルコールで洗い、アンモニア液に浸します。 古いシミはオキシドールで漂白をおこなってください。 |
油性汚れは、水性汚れよりも落とすのが難しいです。
ベンジンや中性洗剤、シンナーなどを使って落としていきます。
■油性汚れの落とし方■
チョコレート | ティッシュなどで拭いてから、ベンジンで叩いて脂肪分を吸収します。 その後、薄めた洗剤溶液で汚れを叩き出してください。 |
ビール・日本酒・洋酒 | 水またはぬるま湯を、布か綿棒に含ませて汚れを吸い取らせるようなイメージで叩きます。 ぬるま湯でも落ちなければ、薄めた中性洗剤で補ってください。 |
マヨネーズ | お湯を含ませた布で拭きとります。 洗剤液で拭き、まだ残るようであればアルコールで拭いてください。 |
マニキュア・マジックインキ | シンナーで拭き取り、中性洗剤をうすめたぬるま湯で拭きあげます。 |
油絵具・ペンキ | うすめ液で柔らかくし、吸い取り紙を当ててアイロンをかけ油分を拭き取ります。 アルコールで拭いてから中性洗剤を薄めたぬるま湯で拭いてください。 |
※アイロンを当てる場合は、事前にカーペットの洗濯表示をご確認ください。
最後に、不溶性の汚れや、その他の汚れの落とし方をご紹介します。
■その他の汚れの落とし方■
墨汁 | 吸取紙と食塩で吸い取った後、中性洗剤を入れたぬるま湯で拭き取ります。 または、牛乳をかけて拭き取っても良いでしょう。 |
泥 | 良く乾かして指先で泥を落とし、ブラッシングをします。 ぬるま湯で薄めた洗剤を布に含ませ、汚れを叩き落としてから、水で拭いてください。 |
犬猫の糞 | 塩水で拭き取った後、5%のアンモニア水で拭き取ります。 中性洗剤を入れたぬるま湯で汚れを拭き取りましょう。 |
尿 | 塩水、またはアルコールと酢酸の混合液で拭き取ります。 中性洗剤を薄めた水で拭き上げてください。 |
時間が経った古いシミの取り方
カーペットの汚れは時間が経つほど浸透するため、迅速に掃除をすることが大切です。
しかし、すぐにカーペットを掃除するのが難しかったり、汚れが付着して時間が経過してから汚れに気が付くケースもあると思います。
時間が経って浸透した汚れは、ぬるま湯で汚れをほぐしましょう。
シミのついた部分にぬるま湯を垂らし、汚れをほぐします。
その後、薄めた中性洗剤を染み込ませた清潔な雑巾で汚れを叩きましょう。
それでも汚れが落ちないときは、クリーニング店に相談してください。
カーペットのシミ抜きの注意点
この章では、カーペットのシミ抜きをする上での注意点について解説します。
カーペットのシミ抜きをするときは、以下の5点に気をつけましょう。
- できるだけ早くシミ取りをする
- シミの外側から中心に向かて拭き取る
- カーペットの端で試し拭きする
- 塩素系漂白剤を使用しない
- 汚れが落ちないときはクリーニング店に相談
できるだけ早くシミ抜きをする
カーペットの汚れを発見した時は、できるだけ速やかにシミ抜き作業をおこないましょう。
カーペットに付着した汚れは、時間が経過するほど浸透し、落とすのが難しくなります。
シミの外側から中心に向かて拭き取る
水や中性洗剤で汚れを拭き取る際は、必ずシミの外側から中心に向かって拭き取りましょう。
汚れの中心から外に向かって拭き取ると、汚れが滲んで広がってしまいます。
カーペットの拭き掃除は、擦るのも良くありません。
汚れの範囲が広がってしまうので、ポンポンと優しく叩き拭きを繰り返してください。
カーペットの端で試し拭きする
掃除に洗剤やベンジン、漂白剤を使用する場合は、カーペットの端で試し拭きしておくと安心です。
染色をしているカーペットは、中性洗剤やベンジン、アルコールなどによって色落ちする可能性があります。
カーペットの目立たない部分で、色落ちがないか試し拭きしてから汚れを落とすようにしましょう。
洗剤やベンジンの濃度が高いと色落ちの危険性が高まるので、薄めて少量ずつ使用するのがおすすめです。
塩素系漂白剤を使用しない
塩素系漂白剤は、漂白剤の中でも洗浄力が高いです。
そのため、カーペットに使用すると色落ちや生地の傷みが発生してしまう可能性があります。
どうしても漂白剤を使用するときは、生地へのダメージが少ない酸素系漂白剤で洗うようにしてください。
また、漂白剤を使用する前に、カーペットの洗濯表示を確認しておくと良いでしょう。
▼漂白剤の使用に関する洗濯表示▼
塩素系・酸素系漂白剤の使用可 |
塩素系及び酸素系の漂白剤を使用できる |
酸素系漂白剤のみ使用可 |
酸素系漂白剤は使用できるが、塩素系漂白剤は使用できない |
漂白剤の使用不可 |
漂白剤は使用できない |
出典:消費者庁HP.「洗濯表示(平成 28年12月1日以降)」.
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/household_goods/guide/wash_01.html
洗濯表示に『漂白剤の使用不可』のマークがついている場合は、漂白剤を使用しないでください。
汚れが落ちないときはクリーニング店に相談
カーペットのシミがどうしても落ちないときは、クリーニング店に相談しましょう。
古いシミや頑固なシミは、一般的なシミ抜きでは落としきれないこともあります。
しかし、強力な漂白剤を使用したり、強く擦ったりするとカーペットを傷めてしまうため注意が必要です。
カーペットが色落ちしてしまうと、元に戻すことはできません。
シミが落ちないときは無理をせず、クリーニング店に相談をしてください。
どうしても汚れが落ちないときはカーペットの買い替えも検討
クリーニング店に依頼すれば、家庭では落とすのが難しい汚れもきれいにすることができます。
しかし、カーペットはサイズが大きいため、クリーニング料金も高額になってしまうことも少なくありません。
カーペットの種類や汚れ具合によっては、シミの跡が残ったり、汚れが完全に落ちないこともあります。
カーペットの汚れが落ちないときは、クリーニング店に依頼するだけでなく、カーペットの買い替えも視野に入れて検討しましょう。
ダイニングやキッズスペースなど汚れやすい場所には、ぜひお手入れしやすい機能が付いたラグ・カーペットをお選びください。
当店FROM FLOORでは撥水カーペットや洗濯機で洗えるラグなどお手入れのしやすい敷物を豊富に取り揃えております。
本記事のまとめ
本記事ではカーペットのシミ抜き方法について解説いたしました。
カーペットのシミは、水溶性と油性の2種類に分けられます。
水溶性はお茶などの水に溶けやすい汚れがのこと。油溶性はマヨネーズのように油に溶けやすい汚れのことです。
シミの種類によって落とし方が変わるので、カーペットの汚れの種類に合わせたシミ抜き方法を選びましょう。
時間がたった古いシミは落としにくいことがあります。
汚れを落としやすくするために、お湯をかけて汚れをほぐしてください。
汚れがどうしても落ちないときや、汚れの種類がわからないときはクリーニング店に相談しましょう。