「ギャッベ」とは、イランの遊牧民が織り上げる羊毛の絨毯です。
丈夫さや、ユニークな色使い、高いデザイン性が評価され世界的にも注目されています。
ギャッベはたくさんの魅力にあふれた敷物ですが、デメリットがないわけではありません。
値段も決して安くはないので、購入する前にデメリットについても知っておきたいですよね。
そこで、本記事では敷物専門店がギャッベのデメリットと、購入して後悔しないための選び方について解説いたします。
ギャッベのデメリット
ここでは、ギャッベのデメリットについて解説いたします。
ギャッベの主なデメリットは以下の4つです。
- 価格が高い
- ニオイがする
- 重い
- 遊び毛が出る
ギャッベを購入してから後悔しないためにも、あらかじめデメリットについても知っておきましょう。
ギャッベの特徴や魅力について知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
価格が高い
お手頃価格のラグと比べるとお値段が高いです。
ギャッベは玄関マットサイズでも1万円以上、ラグサイズとなると10万円以上する商品も珍しくありません。
ギャッベの展示会に何気なく足を運ばれて、お値段を聞いて驚いた方もいらっしゃると思います。
ギャッベの価格が高くなる理由は、「自然素材を使用していること」そして「ひとつひとつ手織りで作られている」ことが大きな要因です。
ギャッベは天然羊毛を使用し、染料も草木などの自然素材が使われています。(一部、化学染料が使われているギャッベもあります。)
また、ギャッベはイラン南西部に住むカシュガイ族の女性によって丹精込めて織り上げられた敷物。
1畳サイズのギャッベを織るには3ヶ月程掛かるとも言われています。
製作に手間も時間もかかるため、大量生産できる化学繊維のラグと比べるとお値段は高くなるのです。
その代わり、しっかりと手織りされたギャッベは丈夫で長くお使いいただけます。
金額は決して安くないですが、長く使えること、手紡ぎの優しい風合い、天然ウールの機能性、オンリーワンのデザインなどを加味すれば値段以上の価値のある敷物と言えるのではないでしょうか。
ニオイがする
ギャッベの2つ目のデメリットが、ニオイです。
ギャッベは湿度が高くなるとカビのような、獣のような特有のニオイが発生することがあります。
これはウールの調湿作用によるものです。
ギャッベに使われるウール素材は、湿度を吸収し、発散することで調湿しています。
そのため夏場でもサラッとした手触りなのですが、湿度が高すぎると発散が追い付かず、ギャッベに湿気がこもってニオイが発生してしまうのです。
ギャッベのニオイは湿度のバロメーター。
湿度が高いとニオイが発生しますが、湿度が下がればニオイも自然と収まります。
ニオイが気になるときは除湿機を使ったり、換気をして室内の湿度を下げましょう。
またオールドギャッベの方がニオイが発生しやすいため、ニオイを少なくしたい方は新しいギャッベを選ぶようにしてください。
重い
ギャッベは薄手のカーペットやウレタンラグに比べるとかなり重量があります。
山岳地帯のテントに敷いて使うギャッベは、地面の凹凸を感じさせないよう厚手で高密度に織り上げられているためです。
その重量は1平方メートル(1m×1m)あたり約5kg。
(※ギャッベの重さは毛足の密度や長さによって大きく幅があるため例外もあります。)
この計算で行きますと、240cm×200cmのギャッベはおよそ20~25kgという事になります。
しっかりとした作りになっているため納得の重量ではありますが、女性一人では持ち運びさえも大変です。
ですがご安心ください。
ギャッベはオールシーズン敷きっぱなしでお使いいただけます。
ウールは吸湿性が高く、夏場でもベタつきません。
ウール繊維に含まれる油分(ラノリン成分)には汚れをはじく効果があり、メンテナンスも簡単です。
一年中敷いたままで使えるのであれば、重いギャッベを持ち運ぶ必要もありませんよね。
模様替えや引っ越しでギャッベを持ち運ぶ際は、無理せず2人掛かりで運ばれることをおすすめします。
遊び毛
ギャッベを使用している上で避けては通れないのが『遊び毛』です。
遊び毛とは、ラグの毛足から出てくる綿ホコリのようなもの。
ギャッベに限らず、どんなラグやカーペットでも多かれ少なかれ発生しているものです。
ウールは繊維が短いため撚り合わせて1本の糸に仕上げています。(このような繊維は紡績糸と呼ばれます。)
敷物として使っているうちに撚り合わせている部分がほぐれて、ホコリとして出てきたものが遊び毛です。
ウール素材を使用しているギャッベは、使い始めの頃に大量の遊び毛が出ます。
私もギャッベの座布団を使用していますが、使いたての頃は小さな毛玉を作れるほどの遊び毛が発生していました。
カーペットサイズだと、掃除機のタンクがいっぱいになるほどの遊び毛が出てしまう事もあります。
使い始めて半年ほどで遊び毛は少なくなりますので、それまではこまめな掃除機掛けをおこなってください。
コロコロクリーナーは、毛足が傷んで遊び毛が増えてしまうため控えましょう。
遊び毛の量に最初は驚かれるかもしれませんが、不良分ではないので安心してご使用ください。
購入して後悔しないためのギャッベ選びのコツ
ここでは、後悔しないギャッベの選び方について解説いたします。
サイズ
ギャッベ選びで失敗が多いのが、サイズミスです。
手織りで作られるギャッベは、日本のラグやマットと違い商品によってサイズに幅があります。
そのため、「実際に敷いてみると思っていたよりも大きかった(小さかった)」という失敗が発生してしまうのです。
ギャッベを購入する前に、敷きたい場所の寸法をあらかじめ計測しておきましょう。
ギャッベを敷く場所を採寸した後、新聞紙やシーツなどを代わりに敷いてみると実際のサイズ感を掴みやすいです。
空間いっぱいに敷き詰めるのではなく、少し余白を持たせておくと見栄えも良くなります。
リビングに敷き込む場合は、ソファの前に敷くのか、ソファの下にも敷き込むのかなど空間全体のゾーニングについても検討しましょう。
ラグとソファの組み合わせ方についてはこちらの記事で詳しく紹介しております。
価格
ギャッベを選ぶときに気をつけていただきたいのが『価格にとらわれすぎないこと』。
ギャッベは、サイズや毛足の密度によって価格が変わります。
サイズの大きなギャッベや毛足の密度が高いギャッベは、より多くの羊毛が必要になるため価格が高くなるのです。
ですが、ギャッベは世界に2つとない1点もの。
値段が高いから良い、安いから悪いというものではありません。
密度が高いギャッベは踏み心地がよく繊細なデザインを楽しめますが、密度が低いギャッベのざっくりした風合いを好むお客様もおられます。
ギャッベは値段の高さよりも、「自分が良いと思えるか」を基準にお選びください。
産地
ギャッベのクオリティは産地によっても異なります。
ギャッベの本場はイランです。
いわゆるペルシャギャッベは、ひとつひとつ手織りされていきます。
そこには図面も下書きもありません。織子さんの豊かな感性によって自由にデザインされます。
一方、イランのギャッベを模倣して作られたのがインドや中国のギャッベです。
つまり、イラン製以外のものは本物のギャッベではありません。
機織り機などを使用することで、手織りよりもスピーディーに製作することができ、値段も安価となっています。
手織りのような絶妙な揺らぎや温かみは薄れますが、羊毛100%のものであれば手頃なファーストギャッベとしてはおすすめです。
産地についても、どちらが良いと言うものではありません。ご予算や使い方に合わせて、産地もご検討ください。
ギャッベは正しくメンテナンスを続けることで長くご愛用いただけます。
インスピレーションを信じる
そして、ギャッベ選びで忘れてはならないのが『自分の直感(インスピレーション)を信じる』という事。
手織の風合い豊かなギャッベは、言葉や理論で語り切れない魅力にあふれています。
- なぜだか心惹かれる
- 美しい色合いに目を奪われた
- 家のリビングに合いそうな気がする
ご予算やサイズなどの条件も大切ですが、「これが良い!」と思えたなら、ぜひその直感を信じて選んでみてください。
ギャッベを長く使うためのお手入れ方法
ギャッベを使う上で、ダニやカビが心配な方もおられると思います。
ダニやカビの発生を防ぐには定期的に湿気を取り除き、汚れを落としておくことが大切です。
正しいメンテナンスを続けることで、ギャッベを長く清潔にご愛用いただけます。
ニオイや遊び毛などのデメリットも、お手入れすることである程度防ぐことができますよ。
ギャッベのメンテナンス方法について解説していきますので、ギャッベの購入を検討されている方はぜひ参考にしてください。
普段のお手入れ
ギャッベは汚れに強い敷物。
ウールに含まれる油分が汚れをはじくことで、汚れにくく、汚れても落としやすくなっています。
そのため、基本のお手入れは週1~2回の掃除機掛けで十分です。
縦横斜めの方向に、毛並みを起こすようなイメージでゆっくりと掃除機を掛けてください。
こまめに掃除機掛けをおこなうことで、ギャッベの遊び毛を早く落ち着かせることができます。
購入して間もない頃や、遊び毛が気になるときにはその都度掃除機を掛けましょう。
毛足を傷めないよう、回転ブラシはオフにしておいてください。
ギャッベの裏面やギャッベを敷いている床面の掃除機掛けもお忘れなく。
ギャッベを半分ずつ裏返し、ギャッベの裏面と床もきれいにしておきましょう。
掃除機をかけ終えたら、換気をしてギャッベの湿気を取り除きます。
ギャッベは裏面にも湿気がこもるので、半分裏返したままの状態で換気をおこなってください。
ニオイが気になるときのお手入れ
ニオイが気になるときは換気をすることが大切です。
ギャッベの裏面にも湿気がこもることがあるので、ギャッベを半分ずつめくって換気をおこなってください。
雨が続く梅雨の時期は、エアコンの除湿機能が便利です。
しっかりギャッベに風を通したいときは、扇風機を使います。
ギャッベを半分に折りたたみ、ギャッベの裏面から扇風機をあてましょう。
汚れが気になるときのお手入れ
ギャッベの汚れが気になるときは、水拭きをおこないましょう。
水に浸して固く絞った雑巾で、汚れを拭いていきます。
強く擦りつけるとギャッベの毛足が傷む原因になりますので、毛並みに沿って優しく叩くように拭いてください。
汚れが落ちたら、乾いた雑巾で水気を拭き取ります。
倒れた毛並みを起こすように拭くと、根元に入り込んだ水分も取り除きやすいです。
ある程度乾いたら、換気をしてギャッベを乾燥させます。
ギャッベを半分折り返した状態で換気をおこないましょう。数時間後、反対側も同じように折り返して換気をします。
ギャッベの裏返した部分に扇風機を当てると効率的にギャッベを乾かすことができておすすめです。
厚みのあるギャッベは濡れると乾くのに時間がかかるため、水洗いは避けてください。
どうしても丸洗いしたいときは、カーペット専門のクリーニング店などに相談しましょう。
この記事のまとめ
この記事ではギャッベのデメリットと、後悔しない選び方について解説してきました。
ギャッベのデメリットについてあらかじめ知っておくと、購入後の後悔や失敗が少なくすみます。
ギャッベのデメリットは以下の4つです。
- 価格が高い
- ニオイがする
- 重い
- 遊び毛が出る
ギャッベは正しいメンテナンスをおこなうことで、ニオイや遊び毛などのデメリットをある程度防ぐことができます。
ボリューミーな毛足、手紡ぎの優しい風合い、オンリーワンのデザインなど、ギャッベはデメリットを補って余りある魅力にあふれた敷物です。
メリットもデメリットも知ったうえで、納得のいく一枚をお探しください。