ギャッベはイラン南西部の遊牧民族が手織りした敷物。
その価格は、商品によって大きく異なります。
同じサイズのギャッベであっても、2倍以上値段の差があることも少なくありません。
このような値段の差には、どのような理由があるのでしょう。
本記事ではギャッベの値段が高い理由と、価格に差がある理由について解説いたします。
ギャッベとは
ギャッベはイラン南西部の山岳部に住むカシュガイ族の女性が手織りした毛足の長い敷物のことです。
ギャッベはもともと、遊牧民族が暮らすテントに敷いて使用されていました。
ウール素材を100%使用し、厳しい自然環境の中でも使える頑丈さや、保温性・調湿性を兼ね備えています。
また、ギャッベは手織りによる個性豊かなデザインも魅力のひとつ。
織子の感性によって自由奔放に描かれたデザインは、理屈では言い表せない魅力にあふれています。
ギャッベの本物と偽物の違い
本物のギャッベは、イランの遊牧民族によって手織りされています。
ですが、ギャッベの人気が高まるとともに、安価で手軽にギャッベを楽しめるよう、インドや中国でもギャッベが生産され始めました。
これが所謂、偽物のギャッベと呼ばれるものです。
本物のギャッベと偽物のギャッベでは、産地以外にもさまざまな違いがあります。
▼本物のギャッベと偽物のギャッベの違い
| 本物のギャッベ | 偽物のギャッベ | |
| 産地 | イラン南西部 シラーズ地方 |
インド・中国など |
| 原材料 | 羊毛 | 羊毛・ポリエステルなど様々 |
| 織り方 | 手織り （糸紡ぎから染色まで 全て人の手で行われる） |
手機織り・機械織りなど |
| デザイン | 手織りならではの 揺らぎがある |
機械織されているため均整 |
| 値段 | 高い | 比較的安い |
ギャッベは、糸紡ぎ、染色、織りなどのすべての工程が人の手で行われています。
一方、インドや中国のギャッベは、手機織りや機械織によって作られます。
原材料も羊毛だけでなく化学繊維を使用したものなど様々です。
ギャッベの本物と偽物の違いについては、こちらの記事をご確認ください。
ギャッベの値段について
ギャッベは座布団サイズのもので一万円前後、大きなラグサイズだと数十万円する敷物です。
この章では、ギャッベの値段が高い理由と、ギャッベの価格相場について解説いたします。
ギャッベの価格が高い理由
ギャッベは機械織のラグマットに比べると、値段が高い傾向があります。
ギャッベの値段が高くなる理由は、以下の3つです。
- 手織りで生産されている
- 天然素材を使用している
- 複数の業者を経由している
ギャッベが機械織のラグに比べて値段が高いのは、生産に手間と時間がかかるからです。
ギャッベは糸紡ぎから染色、織りに至るまですべての工程が手作業で行われています。
大きいサイズギャッベだと、1枚を織り上げるのに数十日～数か月かかることもあるそうです。
また、ギャッベの毛は、ウールを100%使用し、染料は自然から採取できる動植物を原料にしています。
ギャッベは、イランから日本の店頭へ並ぶまでに複数の業者を経由していることもギャッベの値段が高くなる理由のひとつです。
ギャッベの価格相場
ギャッベを購入されるときに相場が気になる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、サイズ別のギャッベの相場目安を表にまとめました。
複数の販売店舗のギャッベ販売価格をもとに算出しています。
▼ギャッベの相場目安▼
| 座布団サイズ （40×40cm前後） |
8,000円 ～30,000円程度 |
| 玄関マットサイズ （60×90cm前後） |
30,000円 ～120,000円程度 |
| 畳サイズ （140×200cm前後） |
200,000円 ～600,000円程度 |
| リビングサイズ （170×240cm前後） |
250,000 ～750,000円程度 |
とは言え、これらの価格はあくまで目安にすぎません。
相場より高いギャッベや、安いギャッベも数多く存在します。
割引キャンペーンなどを利用すれば相場よりも安価に購入できますし、ハイクオリティギャッベは相場以上の値段がつくことも多いです。
リビングサイズですと、100万円を超えるギャッベも少なくありません。
ギャッベは値段設定の幅が大きい敷物だという事も覚えておいてください。
ギャッベの価格の差について
この章では、ギャッベの価格に差がある理由について解説いたします。
ギャッベの価格に差が出る主な要因は、以下の通りです。
- サイズ
- 織り目の細かさ
- 輸入経路
- 産地
- その他要因
ギャッベは、生産コストや品質、輸送のコストなど様々な要因が値段に影響を与えています。
サイズ
基本的に、ギャッベはサイズが大きくなるほど値段が高くなります。
ギャッベはサイズが大きいほど製作に時間がかかりますし、使用するウールの量も増えるためです。
ギャッベの使い勝手を試したい方は、座布団サイズや玄関マットサイズのギャッベを購入されると良いでしょう。
マットサイズの小さなギャッベは、ラグサイズのギャッベより安価のため、初めての方でも挑戦しやすいです。
ギャッベの芸術的なデザインは、サイズが小さくてもしっかりと存在感を発揮してくれます。
織り目の細かさ
ギャッベは織り目の細かくなるほど製作労力や、使用するウールの量も多くなります。
織り目が細かいギャッベほど、比例して値段も高いです。
ちなみに、ギャッベは織り目の細かい順に並べると『リーズ』『アマレ』『ギャッベ』となります。
ギャッベの織り目の細やかさは、値段以外にも影響を与えています。
目の細かいギャッベと、目の粗いギャッベの特徴を表にまとめました。
| 目が細かいギャッベ | 目が粗いギャッベ |
| 価格が高め | 価格が安め |
| 薄手が多い | 厚手が多い |
| 繊細で細やかなデザイン | 粗く素朴なデザイン |
織り目が細かいギャッベは、繊細なタッチが魅力。織りの密度が高いため、薄手でも座り心地が良いです。
伝統的なデザインから、インテリアになじみやすいモダンデザインまで幅広い柄を表現することができます。
一方、目の粗いギャッベも、品質が低いというわけではありません。
ギャッベはそもそもペルシア語で「粗い」「ざっくりした」と言う意味を持つ敷物。
目の粗いギャッベは、ギャッベらしい素朴な風合いをお楽しみいただけます。
それぞれに違った良さがありますので、特性としてご理解いただけますと幸いです。
輸入経路
ギャッベはイラン南西部でしか生産されていない敷物。
そのため、日本の店頭へ並ぶまでに複数の業者を経由しています。
織子からギャッベを買い付ける業者、買い付けたギャッベを清掃する業者、日本へギャッベを輸送する業者など…。
介する業者の数が多くなるほど、手数料も上乗せされるためギャッベの価格が高くなるのです。
織り手から直接ギャッベを買い付けるなど、流通経路がシンプルなほど価格は安くなります。
産地
先ほども説明しましたが、ギャッベの産地はイラン南西部となっており、それ以外の産地で作られた敷物はいわゆる偽物のギャッベです。
当然、本場イランで製作されたギャッベの方が価格は高くなります。
イランで製作された本物のギャッベはウールや天然染料を使い、染色や織りなどの工程をすべて手作業で行います。
手間暇かけて織り上げられたイランギャッベは、その分価格も高いです。
一方、インドギャッベや中国ギャッベは、手機織りや機械織によるものがほとんど。
手織りのギャッベに比べて生産コストがかからないため、価格も安くなるのです。
その他要因
その他、店舗の立地や規模、広告費の多さなど、ギャッベ以外の要因によって費用が高くなるケースもあります。
好立地の店舗や規模の大きな店舗は、テナント料や人件費が高くなりやすいです。
店舗の経費や広告費が多くなると、利益を増やすためにギャッベの価格も高くなります。
その他、有名ブランドのギャッベも価格が高いことが多いです。
ブランドとしての付加価値（職人の技術や品質へのこだわり）が価格に反映されています。
「値段の高さ＝満足度の高さ」ではない
ここまで、ギャッベの価格の違いについて解説してきました。
ですが、実際のところギャッベ選びにおいて重要なのは価格ではありません。
価格はあくまで指標のひとつであり、ギャッベの良し悪しを決定するものではないのです。
そもそも、手織りのギャッベは世界に2枚として同じものはない1点もの。
織り目の細かさも、サイズの大小もデザインも、すべてギャッベの個性のひとつ。
価格や織り目の細かさを見て、どれが優れていると比べるものではありません。
ギャッベの価値を決めるのは、値段ではなく「あなた自身」だという事を覚えておいてください。
目の細かい柔らかな手触りを好む方もいれば、ギャッベらしい粗い風合いがお好きな方もいます。
人によって好きな色が違うように、ギャッベの好みもまた、人によって違うのです。
ギャッベ選びにおいて重要なのは、ご自身のインスピレーションを信じること。
一期一会の出会いを大切に、毎日眺めていたいと思えるギャッベをお選びください。
手織り本格イランギャッベ
イランの遊牧民族によって作られたギャッベは、手織りでならではの揺らぎがあります。
唯一無二の魅力は、理屈や価格で推し量ることはできません。
入門編におすすめインドギャッベ
イランギャッベだとご予算が合わない場合や、ギャッベの使い勝手を知りたい場合には、インドギャッベがおすすめです。
当店では天然羊毛を100％使用し、手機織りで高密度に織り上げたインドギャッベをご用意しております。
ギャッベの入門としてぜひお試しください。
本記事のまとめ
本記事ではギャッベの値段が高い理由と、価格に差がある理由について解説いたしました。
ギャッベの値段が高い理由は、以下の3つです。
- 手織で生産されている
- 天然素材を使用している
- 複数の業者を経由している
ひとつひとつ手作業で織り上げるギャッベは、製作に手間や時間がかかるため、値段が高くなります。
ギャッベの値段を左右するのは『サイズ』『織り目の細かさ』『輸入経路』『産地』などです。
サイズの大きなギャッベや、織り目の細かいギャッベは多くのウールを使用するため費用が高くなる傾向があります。
また、店頭に並ぶまでに経由している業者の数が多いほど、手数料の兼ね合いから値段が高いです。
手織りのギャッベは、世界に1つしかない1点もの。
値段に囚われ過ぎず、インスピレーションを大切にお選びください。
