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ウィルトン織りのラグ・カーペットとは

ウィルトン織りのラグ・カーペットとは

ウィルトン織りは、18世紀にイギリス・ウィルトン地方で誕生した織物のことです。

繊維を高密度に織り上げることで、繊細なデザインを描くことができます。

手織り絨毯のような繊細さを持つウィルトン織りは、機械織のカーペットの中では最高級品と言って良いでしょう。

本記事では、そんなウィルトン織りのカーペットについて解説いたします。

ウィルトン織りとは

ウィルトン織りのカーペットと歩く人

ウィルトンとは、イギリス・ウィルトシャー州にある地名のこと。
ウィルトン織りは、18世紀にイギリス・ウィルトン地方で始まった機械織ラグ・カーペットのことです。

ウィルトン織りは、経糸と緯糸、シメ糸の3本の糸を使ってパイル糸を締め付けるように織り上げます。
毛足の密度が高く、糸の色数やパイルの毛状も選べるため、機械織でありながら、手織り絨毯のように多彩なデザインを表現することが可能です。

繊細で美しい織模様のウィルトン織りカーペットは、機械織りの中でも最高級品だと言われています。

手織りと機械織りの違い

おしゃれなギャッベ

ウィルトン織りは機械織りですが、機械織だけでなく、手織りで製造されたラグもあります。
例えば、高級絨毯と名高いペルシャ絨毯は、手織りラグの一種です。

ここでは、手織りと機械織りの違いについて簡単にご説明いたします。

手織り

ペルシャ絨毯やギャッベなどの『手織り』は、文字通り、人の手で織り上げるカーペットのことです。

■代表的な手織りカーペット■

中国緞通・ペルシャ絨毯・ギャッベ

ひとつひとつ手作業で仕上げる手織り絨毯は、1枚のカーペットを仕上げるのに多くの時間がかかります。
手間がかかることから、機械織カーペットに比べて価格も高くなることが多いです。

中国緞通は中国発祥の織物で、厚みがあるのが特徴です。

ペルシャ絨毯は、イラン発祥の手織り絨毯で目が非常に細かくなっています。

ギャッベもイラン発祥の敷物ですが、目が粗くざっくりとした風合いです。

機械織り

ウィルトンラグをはじめ、機械を使って織り上げるカーペットを『機械織り』と言います。

■代表的な機械織りカーペット■

ウィルトン織り・ジャガード織り・アキスミンスター

機械織カーペットは、コンピューターによって正確に制御されています。
大量生産しやすく、デザインやクオリティが均質です。

ジャガード織りはウィルトン織りと同じ織りの構成をしていますが、ウィルトン織りよりも細い糸を使用します。

アキスミンスターは、イギリスのアキスミンスター地方で始まった織り方です。
「スプール式」と「グリッパー式」の2種類に分けられます。

ウィルトン織りとタフテッドの違い

ウィルトン織りカーペットに触れる手

ウィルトン織りと並んで、タフテッドカーペットもよく耳にするかと思います。

どちらも機械で作られるカーペットですが、両者にはどのような違いがあるのでしょうか?

ウィルトン織りとタフテッドの違いは、製法です。

ウィルトン織りは『織り』、タフテッドは『刺繍』と言う製法で作られています。

タフテッド

タフテッドカーペット

タフテッドカーペットは、基布にパイルを刺繍のように植え付ける方法で製作されます。

生産速度が速く、ウィルトン織りの30倍ほどの速度で生産が可能です
刺繍した部分は、接着剤(ラテックス)でコーティングし固定されます。
価格の安さや機能の豊富さが人気の敷物です。

ウィルトン織り

ウィルトンカーペット

一方、ウィルトン織りのカーペットは糸と糸を組み合わせて織り上げます

手織りの製法を、機械が行っているとイメージしてください。

経糸や緯糸など4種類の糸を使って織り上げるウィルトン織りは、耐久性が高く丈夫です
製作に時間がかかるため、タフテッドに比べて価格は高くなります

ウィルトン織りカーペットの特徴

ウィルトン織りカーペットに触れる手

ウィルトン織りカーペットの特徴は以下の通りです。

  • 毛足の密度が高い
  • 遊び毛やパイル抜けが少ない
  • 耐久性に優れている
  • デザイン性が高い

毛足の密度が高い

ウィルトン織りカーペット

ウィルトン織りカーペットの一番の特徴は、パイル(毛足)の密度の高さです。

機械織りカーペットの中でも、ウィルトン織りはトップクラスに密度が高いと言われています。
世界的に有名なペルシャ絨毯に比肩するほど、密度の高いウィルトン織りカーペットもあるほどです。

緻密に織り上げることによって、まるで絵画のような繊細なデザインを表現することができます

また、毛足が詰まっていることにより、汚れがカーペットの毛足の奥に入りにくいです。
お手入れが簡単で、掃除機掛けで十分に汚れを落とすことができます。

遊び毛やパイル抜けが少ない

ウィルトンカーペットの構造

ウィルトン織りのカーペットは、パイルを経糸・緯糸・覆経糸(シメ糸)の3種類の糸で交差するように強く締め付けています。

パイルがしっかり固定されているため、引っぱっても簡単に抜けることはありません。

そのため、ウィルトン織りは遊び毛や抜け毛が少ないです。

耐久性に優れている

ウィルトン織りカーペットに触れる手

ウィルトン織りは、高密度の毛足がしっかり固定されているため、へたりにくく耐久性が高いです。
摩擦にも強く、その丈夫さは土足文化の欧米諸国でも愛用されているほど。

上質なものを長く愛用したい、という方にウィルトンカーペットはおすすめです。

デザイン性が高い

ウィルトン織りのカーペット

デザイン性の高さも、ウィルトン織りの魅力のひとつ。

ウィルトン織りは、2~5色のパイル糸を使用できます。
また、繊維の密度も高いため、デザイン表現の幅が非常に広いです。

ウィルトン織りカーペットは、カットパイル・ループパイル・カット&ループパイルなどテクスチャの種類も豊富
無地でも毛足の長さや、テクスチャによって雰囲気を変えることができます。

クラシカル、エスニック、モダン、シンプル…。
ウィルトン織りであれば、絵柄の微細なニュアンスまで描くことが可能です。

ノット数によるグレードの違い

ウィルトン織りのノット数の目安

ウィルトン織の繊維の密度は、ノット数によって表されます。
ノット数とは、1㎡の中にある糸の結び目の数のことです。

ノット数が高いほど結び目の数が多く、織りの密度が高いという事になります。

ノット数の高いカーペットは、繊細な柄を表現することができ、弾力性や耐久性も高いです。
一方、ノット数の低いカーペットは価格を抑えることがきるため、買い替えてお楽しみいただくことができます。

ウィルトン織りのカーペットを選ぶ際は、デザインだけでなくノット数も参考にすると良いでしょう。

ここからは、ノット数によるウィルトン織りのグレードの違いについて紹介いたします。

16万ノット(ポピュラー)

16万ノットのウィルトン織りカーペット

16万ノット以下のウィルトン織りは、いわゆるスタンダードレベルとなってます。

リーズナブルな価格でお買い求めやすいことから、商品数も多いです。

16万ノットのウィルトンカーペット

目が細かすぎないため、ドットアートのような風合いをお楽しみいただけます。

ウィルトン織りの中ではノット数が低いですが、一般的なカーペットに比べると毛足の密度は十分高いです。

20万ノット(スタンダード)

ウィルトン織りカーペット

20万ノットのウィルトン織りは、モダンデザインなど、親しみやすいデザインが多いです。

幾何学模様などであれば違和感もありません。

20万ノットのウィルトン織りカーペット

普及品レベルではありますが、線の揺らぎなど細やかな柄も表現できます

34万ノット(スタンダード~ハイグレード)

34万ノットのウィルトン織りカーペット

ノット数が32.5万以上あれば、ウィルトン織りの本領をご堪能いただけることでしょう。

目が詰まっているため、幅広いデザインを表現できるようになります

36万ノットのウィルトン織りカーペット

このグレードまで来ると単調なデザインのみならず、グラデーションや表情のニュアンスまで描くことが可能です。

50万ノット(ハイグレード~スーパーハイグレード)

50万ノットのウィルトン織りカーペット

50万ノット以上になると、ウィルトン織りの中でもハイグレードな部類に含まれます。

織りの密度が高く、繊細なデザインも美しく表現することが可能です。

50万ノットのウィルトンカーペット

裏面をご覧いただくと織り目の綿密さをより一層実感いただけます。

75万ノット(スーパーハイグレード)

75万ノットのウィルトン織りカーペット

75万ノット以上のウィルトン織りであれば、ぜひオリエンタルやクラシカルな柄を探してみてください。

手織り絨毯のような、上品で繊細なデザインをお楽しみいただけます。

75万ノットのウィルトン織りカーペット

裏面を見ても緻密に織り込まれていることがよくわかります。織りの密度が非常に高いため、摩擦にも強く丈夫です。

100万ノット(スーパーハイグレード)

100万ノットのウィルトン織りカーペット

100万ノットと言えば、ペルシャ絨毯に匹敵する織り密度の高さです。

このランクのウィルトンカーペットの織り目は、非常に精密。
写真や実物を見るときは、遠くから眺めるだけでなく、ぜひお近くで絵柄をご確認ください。

100万ノットのウィルトン織りカーペット

織り目を近くでご覧いただくと、隅々まで非常に細やかな装飾が施されていることがわかります。

150万ノット(スーパーハイグレード)

150万ノットのウィルトン織りカーペット

150万ノットを超えるハイグレードなウィルトン織りは、そう多くはありません。

高ノット数のウィルトン織りは、丹念に織り上げらた美しい模様はもちろんのこと、しっかりと弾力のある踏み心地も醍醐味のひとつ。
毛足が詰まっているため、汚れが毛足に入り込みにくくお手入れもしやすいです。

150万ノットのウィルトン織りカーペット

裏面の織り目さえも、絵画のようにきめ細やかな仕上がりです。

材料や製作時間がかかる分、値段も高くなっていますが、玄関マットサイズであれば比較的手の届く価格となっています。

225万ノット(スーパーハイグレード)

225万ノットのウィルトン織りカーペット

256万ノットは、当店で取り扱うウィルトン織りカーペットの中で最上級の織り密度となります。

息をのむほどの美しい模様。滑らかで心地よい手触り。
超高密度のウィルトン織りは、他のカーペットでは味わえない満足感を与えてくれます。

225万ノットのウィルトン織りカーペット

精巧に描かれた絵柄は、もはや美術品の領域と言っても過言ではないでしょう。

本記事のまとめ

本記事ではウィルトン織りのカーペットについて解説いたしました。

ウィルトン織りとは、18世紀イギリス・ウィルトン地方で作られ始めた、機械織のカーペットのことです。
機械織のカーペットでありながら、手織カーペットのような繊細なデザインをお楽しみいただけます。

ウィルトン織りカーペットは毛足の密度が非常に高く、耐久性に優れていることも特徴です。

ウィルトン織りの、毛足の密度は「ノット数」で表されます。
ノット数が高いほど毛足の密度が高く、細やかな柄の表現が可能です。

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